何のための介護かを、考えて行動する ~ケアマネジャーからのメッセージ

介護は、誰にでもできる仕事だと思っている人がいます。
確かに、看護師のように国家資格がないとできない仕事ではありません。
誰でも始めることはできます。

しかし、誰もが長く続けられるかというと、そうではありません。
介護の世界の雰囲気やつらさに、精神的、体力的に耐えられず、すぐやめてしまう人がいます。
あるいは、現場で必要とされる様々な情報を得たり、スキルを磨くことをせず、
ただ続けるために、楽な方へと流れていく人がいます。
介護をする側は楽でしょうが、サービスを受ける側にとってはとんだ災難です。

「学ばない介護者は、利用者様にとって害悪でしかない」。
以前に受講した研修で講師の方がおっしゃった厳しい言葉です。

グループホームのサービスに求められるものは、
行政的にも、社会的にも、10年前とは大きく変化しています。
入居者様の自立度の低下や多様化などにともない、より高いスキルが求められています。
必要なレベルを満たさずに、介護の仕事を続けていると公言することにはためらいがあります。

サザンツリーでは、定期的に研修を実施し、「学びの場」を設けています。
もっとステップアップするために、入居者様の「日々の暮らし」を支援することとはどういうことなのか?
「尊厳」を守るとはどういうことなのか?
「食事」「入浴」「排泄」「移動」の介助がどれほど大切なことなのかを、
皆でもう一度考えてみたいと思います。

たとえば、今いる場所からトイレまで5メートルの距離。
私たちにとってはほんの5メートルですが、
入居者様にとっては、100メートルにも感じるのではないか?
適切な支援がなければ、5メートルは絶望的なものになります。
尿失禁や便失禁をしてしまうことよりも、
それに対して適切なケアを受けられないことが、尊厳を損なうことなのです。

介護は誰でもできるわけではありませんが、誰でも始めることができます。
もっと私たちの仲間が増えてくれることを祈りながら、毎日入居者様を見守っています。

介護支援専門員 片岡博幸

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